音数律、言葉の力と現代性 ー 中原中也、「新短歌に就いて」、昭和11年
音数律によって歌や詩を作ると現代的が表現しにくいので伝統性と切れてしまった、という見解を読んだことがありますが、中原中也もこの短い小論で、「この懐かしい遺風は今後とも決して忘られはしないであらうけれども、」「短歌に発展の余地が残されてゐない」、「短歌を作りたいといふことが、今後とも人々に全的な希望、全的な仕事として考へられることはあり得ないやうに思はれる。」と述べてます。 「生活の余暇の芸術ではあり得ても、芸術生活となることは出来ない。」「つまり大人の芸術とはなることは出来ない。」「詩歌は理念を持つといふだけでは十分でない、その理念を蕩揺させてみるべきだといふこと、謂はば理念の余剰価値に迄到達すべきだ」という見解は作家の力よりも言葉の力が大きく出来を左右する詩文、韻文に於いて、重要な指摘だと思いました。 中原中也、「新短歌に就いて」、昭和11 初出、「短歌研究」、 1936(昭和11)年12月号 引用は青空文庫より