アメリカ小説集、短編集
『アメリカン・マスターピース 古典篇』(柴田元幸翻訳叢書)、スイッチ・パブリッシング、2013年
(収録作品)
「ウェイクフィールド」、ナサニエル・ホーソーン、○
「モルグ街の殺人」、エドガー・アラン・ポー、
「書写人バートルビー」、ハーマン・メルヴィル、◎
「詩」、エミリー・ディキンソン、○
「ジム・スマイリーと彼の跳び蛙」、マーク・トウェイン、○
「本物」、ヘンリー・ジェームズ、
「賢者の贈り物」、O・ヘンリー、
「火を熾す」、ジャック・ロンドン、○
どの作品も良かった。
『どこにもない国 現代アメリカ幻想小説集』、柴田元幸編訳、松柏社、2006年6月
(収録作品)
「地下堂の査察」、エリック・マコーマック、"Inspecting the Vaults", Eric McCormack, 1987
「Do you love me?」、ピーター・ケアリー、"Do you love me?", PeterCarey, 1994
「どこへ行くの、どこ行ってたの?」、ジョイス・キャロル・オーツ、"Where Are You Going, Where Have You Been?", Joyce Carol Oates, 1993
「失われた物語たちの墓」、ウィリアム・T.ヴォルマン、"The Grave of Lost Stories", William T. Vollmann, 1991
「見えないショッピング・モール」、ケン・カルファス、"Invisible Malls", Ken Kalfus, 1998
「魔法」、レベッカ・ブラウン、"An Enchantment", Rebecca Brown",1996
「雪人間」、スティーヴン・ミルハウザー、"Snowmen", Steven Millhauser, 1981, 1982, 1983, 1984, 1985
「下層土」、ニコルソン・ベイカー、"Subsoil, Nicholson" Baker,1994
「ザ・ホルトラク」、ケリー・リンク、"The Hortlak", Kelly Link, 2003 ◎
「ザ・ホルトラク」(トルコ語で幽霊)はおかし味があって、「どこへ行くの、どこ行ってたの?」もユーモアがあります。この世の中の不可解さや、人間の物質化の恐ろしさみたいな作品、「地下堂の査察」、「失われた物語たちの墓」、「下層土」、「見えないショッピング・モール」、「ザ・ホルトラク」などは読んでいる自分も葬り去られそうです。「雪人間」は美しいですがわかりにくい作品でした。
この選集にはアメリカ人以外の、アメリカ在住やアメリカで活躍している作家の作品も入れているそうです。
『ラブストーリー・アメリカン』、ジョエル ローズ(Joel Rose)編、キャサリン テクシエ(Catherine Texier)編、柳瀬尚紀訳、新潮文庫(ロ-10-1)、平成7年(1995年)
(収録作品)
「『ファック・ミー』とバービーはいった」、A.M.・ホウムズ
「ビッグ・ベティとミス・キューティ」、バリー・ギルフォード、(Barry Gifford, "Night People" の Apaches が原文?) ◎
「つれない愛人」、リン・マックフォール
「『ユリシーズ』の日の前日の恋」、デイヴィッド・フォスター・ウォーレス
「イエローローズ」、ウィリアム・T.・ヴォルマン
「白人女をモノにするための黒人教本」、ドクター・スネークスキン
「カリスタ」、トレイ・エリス
「レイプなんて怖くない」、リサ・ブラウシルド
「ロジャーとのけんか別れ」、デイヴィッド・B.・ファインバーグ
「変り身自在」、リン・ティルマン
「子供」、デイトナ・ビーチ
「わが母」、キャシー・アッカー
「狼少年の日記から」、ディヴィッド・ウォジナロヴィッツ
「これぞマッコイ」、キャサリン・テクシエ
「ミセス・ヴォーンの恋人」、パトリック・マッグラス
「恋の骨折り老い」、ジョエル・ローズ
『笑いの新大陸 アメリカ・ユーモア文学傑作選』、沼沢洽治,佐伯泰樹編、白水社(白水Uブックス)、1991年
(収録作品)
「ブルフロッグの奥方」、ナサニエル・ホーソーン ◎
「使いつぶした男」、エドガー・アラン・ポー
「コケコッコー!」ハーマン・メルヴィル
「生きているやら、死んだやら」、マーク・トウェイン
「アリバイ・アイク」リング・ラードナー
「今日は金曜日」、アーネスト・ヘミングウェイ
「人を噛んだ犬」、ジェイムズ・サーバー
「騾馬が庭に」、ウィリアム・フォークナー ◎
「医術は演技術」、S.J.ペレルマン
「歌う歌で声の主がわかってたまるか」、フィリップ・ロス ◎
「ビッグ・シックス」、ブルース・ジェイ・フリードマン
「ユダヤ人鳥」、バーナード・マラマッド ◎◎
「石の庭」、サム・シェパード
「ミスター・ビッグ」、ウディ・アレン
「ユダヤ人鳥」は他の選集にも入っており、鳥の困った顔が想像される、哀しい小説でもあります。「騾馬が庭に」はドタバタした話の展開で2回くらい読まないと筋が追えませんでしたが愉快な短篇です。
『And other stories とっておきのアメリカ小説12篇』、村上春樹他、文藝春秋、1988年
(収録作品)
「モカシン電報」、W.P.キンセラ、村上春樹訳
「三十四回の冬」、ウィリアム・キトリッジ、村上春樹訳
「君の小説」、ロナルド・スケニック、村上春樹訳
「サミュエル・生きること」、グレイス・ペイリー、村上春樹訳
「荒廃地域」、スチュアート・ダイベック、柴田元幸訳 ◎
「イン・ザ・ペニー・アーケード」、スティーヴン・ミルハウザー、柴田元幸訳
「夢で責任が始まる」、デルモア・シュウォーツ、畑中佳樹訳
「彼はコットンを植えない」、J.F.パワーズ、畑中佳樹訳 ◎
「レイミー」、ジェイン・アン・フィリップス、斎藤英治訳
「嵐の孤児」、メアリー・モリス、斎藤英治訳
「ビッグ・ブロンド」、ドロシー・パーカー、川本三郎訳
ジャズが好きな人には「彼はコットンを植えない」がおすすめです。
『現代アメリカ幻想小説』、志村正雄編、白水社、1973年
(収録作品)
・動物たち
「啓示」、フラナリー・オコナー、志村正雄訳、"Revelation", Flannery O'Conner, 1965
「聖処女ケイティ」、ジョン・スタインベック、井上謙治訳、"St. Katy the Virgin" in The Long Valley, John Steinbeck, 1938 ◎
「トマス・エジソンのむく犬」、カート・ヴォネガット、八木敏雄訳、"Mr. Edison's Dog" Kurt Vonnegut Jr., 1938 ◎
「肉体」、ウィリアム・フォークナー、志村正雄訳、"Shaggy Carcasonne", William Faulkner, 1931
・狂気
「ひそかな雪,ひめやかな雪」、コンラッド・エイケン、河野一郎訳、"Silent Snow, Secret Snow", Conrad Aiken, 1934
「嘆願書」、ジョン・バース、八木敏雄訳、"Petition", John Barth, 1968
「棒やら石やら」、レナード・マイクルズ、志村正雄訳、"Stocks and Stones", Lenard Michaels, 1969
「ミリアム」、トルーマン・カポーティ、河野一郎訳、"Miriam", Truman Capote, 1949 ◎
「私ではない」、ポール・ボールズ、八木敏雄訳、"You Are Not I", Paul Baules, 1950
「大統領」、ドナルド・バーセルミー、志村正雄訳、"The President", Donald Barthelme, 1968
・死
「エントロピー」、トマス・ピンチョン、井上謙治訳、"Emtropy", Thomas Pynchon, 1966
「書斎のご婦人たち」、ゴア・ヴィダル、志村正雄訳、"the Ladies", Gore Vidal, 1956
「あるセールスマンの死」、ユードラ・ウェルティ、吉田誠一訳、"Death of a traveling Salesman", 1941 ◎
「キリマンジャロの雪」、アーネスト・ヘミングウェイ、池沢夏樹訳、"The Snows of Kilimanjaro" in The Fifth Column and First Forty-Nine Stories, Earnest Heamingway, 1938 ◎
「キリマンジャロ・マシーン」、レイ・ブラッドベリ、吉田誠一訳、"The Kilimanjaro Machine", Ray Bradbury, 1970
「亡き妻フィービー」、セオドア・ドライサー、河野一郎訳、"The Lost Phoebe", Theodore Dreiser, 1916
動物たち、狂気、死、の章分けはあまり意味はないそうです。「聖処女ケイティ」と「あるセールスマンの死」がとてもよかった。「あるセールスマンの死」はあるセールスマンを助けるドイツ移民の一家の生き方に感心しました。
「キリマンジャロの雪」はヘミングウェイの作品を読む方にはおすすめです。晩年の作品ではないようですが、彼の人生の集大成となるような回顧的な短編です。
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