ブラジル音楽草、ブラジル18のリズム・バリエーション

ブラジル音楽草 >ブラジル研究 >

ブラジル18のリズム・バリエーション

update:1998,8,4(tue)

概要

 マルコス・スザーノがまとめた18のリズムで、ビデオ「マルコス・スザーノ パンデイロ・コンプリート・レッスン」で解説している事柄を書き留めたものです。記録の意味で字幕を殆ど写しました。また、楽器の教則ビデオなので、パンデイロを念頭に置いた書き方になっています。ビデオではこれらのリズムをゆっくりしたテンポと通常のテンポの両方で演奏してます。

パンデイロ・コンプリート・レッスン

マルコス・スザーノ(Marcos Suzano),「マルコス・スザーノ パンデイロ・コンプリート・レッスン」, 
Marcos Suzano, Pandeiro Complete Lesson, 
フジテレビ映像企画部発売 / Latina販売 LAV1001, 1998/3/30, \7000, 約70分

18のリズム・バリエーション

1,Baiaozinho/Congada バイアォンジーニョ/コンガーダ

 「まずは、バイアォンにも、ミナスのコンガーダにも似ているのでバイアォンジーニョ・コンガーダ呼んでいる、どこかブラジルの田舎の匂いがするリズムです。」

2,Coco ココ

 「ブラジル北東部の沿岸地域特有のリズム、ココをやってみましょう。ココを歌いながらパンデイロを叩く人をインボラデイロと呼ぶんですよ。」

3,Ciranda シランダ

 「シランダです。これはペルナンブーコ州イタマラカー島生まれの沿岸地方のリズムで、アラブ音楽つまり2世紀前にこの地に移住した、モール人文化の影響を強く受けています。」

4,Maracatu マラカトゥ

 「マラカトゥです。これもペルナンブーコ州主にレシーフェからブラジル中に広かったリズムで、アラブの影響を受けています。」

5,Xaxado シャシャード

 「シャシャードをやってみます。実はこのリズムで僕はどちらかといえばシャシャードの踊りつまり身体の動きを表現します。」

6,CONGO コンゴ

 「コンゴです。これはサンバの原型の一つであり、またカポエイラではマクレレーと呼ばれてます。アフリカからもたらされたコンゴが他のリズムを融合してサンバが生まれました。」

7,IJEXA イジェシャー

 「イジェシャーです。本来パンデイロではあまり演奏しないリズムですがとても美しいリズムで、ブラジルで敬愛されるカンドンブレーの女神イエマンジャーのリズムです。また有名なアフォシェーの叩きからでもあるんですね。アフォシェーは主にバイーア州のサルヴァドールに伝わる大衆音楽活動で、例えばフィーリョス・ヂ・ガンジーとかとても美しいパフォーマンスを行うグループがあります。イジェシャーはカンドンブレーの儀式で使われるリズムなんです。」

8,SAMBA(1) E CHORO サンバ/ショーロ

 「サンバとショーロについてお話ししましょう。サンバもショーロもリオで発展したリズムで、そこでは偉大なパンデイロ奏者たちが強打の後の2小節目の2番目の16分音符にアクセントを置くリズムを作り上げました。これはとても重要なポイントです。「サンバはいろいろなテンポで演奏できます。一番速くて気持ちいいのは120bpmくらいでしょうか、でもサンバ・エンヘードでは144とか145bpmで演奏することもあります。」

9,SAMBA(2) サンバ

 「"逆叩きサンバ"をやりましょう。こうやる代わりにこう叩くんです。(・・・)なぜ逆に叩くのか。例えばスルドやドラムス、ベースなどと演奏する時に親指をもっと自由にしておけるからです。」

10,PARTIDO ALTO パルチード・アルト

 「サンバの一形態であるパルチード・アルトです。パルチード・アルトは簡素化されていてシンコペーションを伴います。リズムの小節をすべて叩く必要がありません。サンバよりも隙間の空いたリズムです。まずはチューニングの低いパンデイロ用のパルチードです。(・・・) 今度はナイロン・ヘッドなどチューニングの高いパンデイロ用のパルチードです。でも基本の考え方は変わりません。」

11,SAMBA FUNK サンバ・ファンク

 「サンバ・ファンクです。本来2拍目はスルドまたは親指の重低音ですが、ここでは代わりに平手打ちを入れます。(・・・) さっきやったコンゴのリズムに似てますよね。平手打ちのアクセントによってよりポップでファンクっぽいリズムの感じを加えることができます。アクセントを2拍目を4拍目に置くのでポップというのかバック・ビートっぽくなってブラジル特有でないビートにも合うようになります。もっとユニヴァーサルに、どこでも叩けるような感じにね。」

12,SAMBA(3) サンバ

 「このサンバは、僕も大好きなんですがマシーシ的なアクセントをつけたものです。マシーシはサンバより古いリズムでサンバの創始者の一人でもあるピンシギーニャなどがよく演奏してました。このリズムにはまだ2拍目の重低音が残ってます。」

13,AFRO-LATINO アフロ・ラチーノ

 「ここからは僕の創作リズムをいくつか叩いてみましょう。まずはアフロ・ラチーノです。サルサなどのラテン的なリズムとアフロ的なものを組み合わせています。このリズムはアクアレー・カリオカのファースト・アルバムの「フア・ジャペリ」という曲でやっています。(・・・) アフロ・ラテン的なリズムなんですがこの効果はロールさせる感じで出します。アフロ・キューバンで使われるギロと同じような感じで、こういうのもあるということを、ちょっと覚えておいてください。」
※中指をづって、小太鼓の連打奏のような速い刻み打音をだす方法の解説

14,QUADRILHA クアドリーリャ

 「このリズムは僕がクアドリーリャと呼んでるものです。なぜなら、サン・ジョアン祭りの踊りクアドリーリャを表現したものだからです。テンポは本来非常に速いものです。このリズムが聴ける一番かっこいいアルバムは僕とレニーニの『オーリョ・ヂ・ペイジ』で曲は「レオン・ド・ノルチ」です。これぞまさに北東部の歌!という感じの曲ですね。」

15,POP ポップ

 「このリズムはポップなんて呼んでるんですがネイ・マトグロッソがアクアレーラ・カリオカを仕事をした時にネイの大ヒット曲「サンギ・ラチーノ」をアクアレーラをして演奏するにあたってこういうビートを(・・・ヂキヂキダッ、ヂキヂキヂ、ディ、ダッ、ヂキヂキダッ、)パンデイロではどうやって表現するか考えて作ったリズムだからです。」

16,MAIS ALEM マイズ・アレン

 「マウズ・アレンというリズムは、実はレニーニやイヴァンたちが作った曲の名前です。とてもゆっくりしたバラードなんで重低音を響かせるのにはどうすればいいか考えたんです。レニーニも僕も物事を合成するのが得意な方なのでパンデイロではこんな風になりました。」

17,REGGAE レゲエ

 「ちょっとリラックスするためにレゲエのビートをやりましょう。僕はアクアレーラをネイのアルバムでこのレゲエをやりました。ドラムを基本をして叩くのでシンプルだし簡単ですがゆっくりとしたテンポの中にも意味があるので、気持ちのいいリズムです。」

18,FREVO フレヴォ

 「フレヴォです。これをパンデイロでやるには実に様々な叩き方があって人によってそれぞれ叩き方が違います。フレヴォは大変テンポの速いリズムで140とか150、180bpmくらいまでいくこともあります。叩き方には実に色々ありますが僕が一番面白いと思うやり方を紹介します。この方法だと、手がいつも同じ流れで動きポジションを繰り返さないですむからです。同じポジションで同じ音を出すのを極力避けるというのは、パンデイロを練習する全ての人に僕が勧めるやり方です。」

ブラジル音楽草 /

コメント

このブログの人気の投稿

東芝冷蔵庫のドアが勝手に開いてしまう不具合

ミルトン・ナシメント作品目録 (Milton Nascimento)

2010/02/12 LOG2007