ブラジル音楽草、ミルトン・ナシメント作品目録、ミラグリ・ドス・ペイシェス (Milagre Dos Peixes)

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ミラグリ・ドス・ペイシェス (Milagre Dos Peixes)

update:2001,9,27(thu)

ミラグリ・ドス・ペイシェス -1973

主に3種類あり、同名のライブアルバムもある。
  • a)EMIのアビーロード・リマスタリング盤(EMI 790790 2) 1995年・・・オリジナルジャケット
  • b)日本版(東芝EMI CP32-5738) 1988年・・・魚のジャケット
  • c)カナダ版(INTUITION Records INT 3008 2) 1992年・・・魚のジャケット
  • d)ライブ版(EMI 830430 2) 1974年・・・これは別作品    
     タイトル「ミラグリ・ドス・ペイシェス (アオ・ヴィーヴォー) (Milagre Dos Peixes(Ao Vivo))」

曲目

  1. OS ESCRAVOS DE JO - 3'09 
     Milton Nascemento作曲、Fernando Brant作詞
  2. CARLOS,LUCIA,CHICO E TIAGO (カルロス,ルーシア,シコ・イ・チアゴ) - 6'02 
     3'15辺りから始まるPaulo Mouraのサックスに注目したい。この時期にこのような吹き方をしているのは非常に優れている。ウェイン・ショーターもこの音楽に影響を受けたと思われる。
  3. MILAGRE DOS PEIXES (ミラグリ・ドス・ペイシェス) - 2'49 
     Milton Nascemento作曲、Fernando Brant作詞
  4. A CHAMADA (ア・シャマーダ) - 4'14 
     全体的にジャングルのなかにいるような感じのレコードだが、この曲がもっとも密林である。
  5. CADE (カデー) - 3'57 
     (注)EMIリマスタリング盤ではこの曲は飛ばされ9曲目に入っている。
     ネルソン・アンジェロ(Nelson Angelo/ギター)の渋いバッキングと、ヴァグネル・チゾ(Wagner Tiso)のエレクトリック・ピアノが特に名演である。
  6. PABLO No.2(FESTA) (バブロ No.2) - 3'12 
     副題の「FESTA」は"祭り,祭典"の意である。
  7. TEMA DOS DEUSES (テーマ・ドス・デウセス) - 3'23 
  8. HOJE E DIA DE EL REY (オージ・エー・ヂア・ヂ・エル・レイ) - 6'53 
     4楽章からなる。2'25と4'59からのNivaldo Ornelasのサックスソロは非常によい。現在のジャズ・サックスの音楽的原点とも思える。また、3'08からの歌声は地味だがこれもよい。
  9. A ULTIMA SESSAO DE MUSICA - 2'26 
     ミルトン・ナシメントのピアノ・ソロである。最上の場末のバーに来た感じである。
  10. SACRAMENTO (サクラメント) - 1'52 
  11. PABLO (パブロ) - 2'51 
     曲の終わりで6曲目の「PABLO No.2」が始まり、円環する構造になっている。

異同


 代表作である。歌詞が殆どないのは当時の政権の抑圧への反抗であるらしい。最近発売されたこのEMIのアビーロード・リマスタリング盤では歌詞カードと実際の曲が一致しておらず、歌詞カードで5曲目の「カデー(CADE)」が飛ばされ9曲目になっている。これは曲順の方が誤りであり、歌詞カードが本来の順序のようである。1992年カナダ盤も、日本版も歌詞カード通りの順に従っており、演奏者と楽器を聴いても本盤の誤りであろう。
 下記の曲目一覧は歌詞カード通りとして注釈を附した。歌詞カードの曲順に意味があるように思えるからである。曲順に誤りがあるものの、抜けがあるわけでなく、ジャケットも発売当初のオリジナル盤を再現しており豪華である。オリジナル盤はLPにシングル3枚がセットされており、かなり力が入っていたらしい。他の盤はタイトル(奇跡の魚)にちなんで魚のイラストになっておりこれはこれで悪くない。三種類出回っているが以下にまとめる。
  1. EMIのアビーロード・リマスタリング盤(EMI 790790 2) 1995年発売
     ジャケットが豪華でよい。開くと陸上競技のトラック型のポートレイトになっており、表は乳児を抱く手、裏はミルトン・ナシメントの子供の頃の、共に写真である。演奏者の一覧は連なった5色に分けられた紙だが、オリジナル盤は大きさも異なっているらしい。曲順に間違いがあるのが難点である。
  2. 日本版(東芝EMI CP32-5738) 1988年
     ジャケットは魚の絵であるが、中原仁氏の解説がよりオリジナル盤の様子も分かる。解説に価値があるのでこれも買いたいが、店頭にない。
  3. カナダ版(INTUITION Records INT 3008 2) 1992年
     ジャケットは魚の絵である。輸入盤なので以前は安くてよかったが、最近輸入盤の価格が上がったのでそれほど得ではない。割に手に入りやすいが、EMIリマスタリング盤も手に入り易いのでこの盤の特徴はこれと言ってない。
a) 
b), c) 



ミラグリ・ドス・ペイシェス (アオ・ヴィーヴォー)
(Milagre Dos Peixes(Ao Vivo)) -1974

(EMI 830430 2) 1995 Made in Brazil
 1974年5月7日、8日にサンパウロ市立劇場("Teatro Municipal" de Sao Paulo)で行われたコンサートを収録したものである。内容は圧巻であることは言うまでもない。出演はミルトンナシメントとソン・イマジナリオ(SOM IMAGINRIO)となっており、これにオーケストラが付く。

参考

*1)ボルヘス「円環の廃墟」参照 
  (1944年作、「ラテンアメリカ怪談集」鼓直(編)、河出書房新社(河出文庫)、1990年初版)

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